弔電をいただいたらお返しは必要?お礼状のマナーと例文

弔電をいただいたらお返しは必要?お礼状のマナーと例文

身内の葬儀で喪主になった際、故人の知り合いなどから弔電をいただくことがあります。故人への感謝や遺族への励ましの言葉がつづられたメッセージはありがたいものですが「何かお返しをした方がいいの?」と悩む方もいるでしょう。

今回は弔電をいただいた際のお返しマナーと、そのまま使えるお礼状の例文をご紹介します。

弔電のお返しは何を送ればいい?

弔電のお返しは何を送ればいい?

「弔電をいただいたら、何かお返しの品物を送ったほうがいいのかな」と考える方もいらっしゃいますが、基本的にいただいたのが「弔電のみ」ならばお返しの品は不要です。

ただし、弔電と一緒に香典や供花などをいただいた場合は「香典返し」という形で品物を送ります。

  • 弔電のみをいただいた場合:お礼のみ(お返しの品は不要)
  • 弔電と一緒に香典などもいただいた場合:お礼状+お返しの品

ここでは「弔電のみ」をいただいた場合を想定して解説していきます。

弔電のお礼の基本マナー

弔電のお礼の基本マナー

弔電のお礼は、ただ感謝の言葉を伝えればいいというものではありません。せっかくのご厚意に失礼で返してしまわないよう、基本的なマナーを確認しておきましょう。

弔電のお礼はどんな形で伝える?

弔電のお礼の伝え方には次のような方法があります。

  • 直接訪問
  • 手紙やハガキ
  • 電話

現在では手紙やハガキで「お礼状」を送るのが一般的ですが、本来は直接先方まで伺ってお礼を伝えるのが礼儀です。書面で送るのはあくまで「略儀(正しい手順を省略した方法)」であることを覚えておきましょう。

ごく親しい間柄であれば電話でお礼をすることもありますが、その場合も後日お会いしたときに直接お礼をすると丁寧です。

メールやメッセージアプリは、お礼状をさらに簡略化したものになるので基本的には避けたほうが無難です。

弔電のお礼状はいつまでに出せばいい?

弔電のお礼状には、弔電をいただいたことへの感謝だけではなく「葬儀が無事に終了したこと」を伝える意味もあります。「いつまで」というルールはありませんが、葬儀が終わったらなるべく早く、遅くても2週間以内には出すのがおすすめです。

故人の遺品整理などで慌ただしい中では大変かもしれませんが、無理のない範囲で早めに出すようにしましょう。

便箋やハガキのデザイン

便箋やハガキはシンプルな白地を選びましょう。弔事に関するお礼状であるため、カラフルなものや装飾性の高いものは適しません。

手紙の場合は封筒も白無地のものを用意しましょう。ハガキは郵便局で販売されている弔事用のハガキか、白無地のハガキに菊が描かれた弔事用切手を貼って使うのがおすすめです。ハガキの場合は文面を印刷してもかまいませんが、手書きのほうがより丁寧な印象になります。

連名の弔電も全員に対して送る

弔電の差出人名は、会社の方や学校の同窓生など連名になっていることがあります。お礼状は代表者の方だけではなく、名前を連ねてくださった方ひとりひとりに出しましょう。

弔電のお礼状の書き方

弔電のお礼状の書き方

弔電のお礼でもっとも一般的なのはハガキや手紙で伝える方法です。書き方にもいくつか気をつけるべき点がありますので、ひと通りチェックしておきましょう。

縦書きで書く

手紙、ハガキいずれの場合も縦書きが基本です。

筆記用具は筆や筆ペンを使う

お礼状を書くときは筆、筆ペン、万年筆などを使用しましょう。筆を使った文章のほうが格式が高いとされているため、丁寧さや感謝の気持ちがきちんと伝わります。

特に目上の方や高齢の方は格式を重んじる傾向があるため、鉛筆やボールペンは使わないのが無難です。

「忌み言葉」「重ね言葉」に注意

冠婚葬祭のメッセージでは、不幸を連想させる「忌み言葉」と、不幸が繰り返し起こることを連想させる「重ね言葉」を使うのはNGです。特に「重ね言葉」はうっかり使ってしまいがちなので注意しましょう。

忌み言葉の例
終わる・絶える・別れる・切れる・欠ける・冷める・四(死)・九(苦)等
重ね言葉の例
たびたび・しばしば・重ね重ね・いろいろ・たまたま・わざわざ・等

句読点は使わない

句読点は「(人間関係の)区切り、終わり」を連想させるため、冠婚葬祭のメッセージでは使わないのがマナーです。文字が長く続いてしまうときは、句読点の代わりに一文字スペースを空けたり改行したりして読みやすくします。

略儀にしたことのお詫びを添える

現在では手紙やハガキが一般的ではあるものの、本来弔電のお礼は直接訪問して伝えるのが礼儀とされています。ハガキや手紙でのお礼は「略儀」に当たるため、そのことに対するお詫びをひと言書き添えましょう。

弔電のお礼状例文

「弔電のみをいただいた場合」「弔電と一緒に香典等もいただいた場合」に分けて例文をご用意しました。いずれの場合も、次の4点を必ず含めるようにしましょう。

  • 弔電をいただいたことへのお礼
  • 葬儀が滞りなく終わったことの報告
  • 略式であることのお詫び
  • 日付と差出人名

弔電のみ

弔電のお礼状例文:弔電のみをいただいた場合
拝啓
このたびは故〇〇の葬儀に際しまして お心のこもった弔電を賜り
誠にありがとうございました
おかげさまにて葬儀を滞りなく相営むことができましたこと
厚く御礼申し上げます
温かいお心遣いに故人も喜んでいることと存じます

略儀ではございますが取り急ぎ書中にてご挨拶申し上げます
敬具

謹呈
このたびの亡母 〇〇 儀 葬儀に際しまして
ご鄭重なるご弔電を賜り ご芳情の程深謝申し上げます
お陰さまにて葬儀も滞りなく執り行うことができました
ここに故人が生前賜りましたご懇情に謹んでお礼申し上げます
略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます
敬白
謹啓
祖父 〇〇 儀 葬儀の際はご丁寧なご弔電を賜り
厚く御礼申し上げます
温かいお言葉に故人もさぞかし喜んでいることと存じます
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます
早速拝眉の上ご挨拶申し上げるべきところでございますが
書中を以て謹んで御礼申し上げます
謹白

お香典などもいただいた場合

弔電のお礼状例文:香典などもいただいた場合
拝啓
このたびは 亡き父〇〇葬儀に際しまして
ご懇篤なるご弔電とお心遣いを賜りまして
誠にありがとうございました
お蔭をもちまして滞りなく葬儀を済ませることができました
父に代わりまして生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
先般 故〇〇葬儀に際しまして
ご丁寧なご弔電に添えて過分なご香料を賜りまして
誠にありがとうございました
お蔭をもちまして 葬儀も諸事万端滞りなく済ませることができました
つきましては 供養のしるしとして心ばかりの品をお送りいたしますので
ご受納いただければ幸いです
本来であればお伺いしてご挨拶申し上げるべきところですが
略儀ながら書中にてお礼を申し上げます
謹啓
このたびは 母〇〇の永眠に際し
ご丁寧なお悔やみのお言葉と過分なるご芳志を賜りまして
誠にありがとうございました
おかげさまで通夜ならびに葬儀告別式を滞りなく済ませることができました
故人も安心していることと存じます
本来ならばお目にかかり御礼申し上げるべきところ
失礼とは存じますが書中にてご挨拶申し上げます
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
謹白