【原因別】ボールペンのインクが出ないときの対処法と注意点

【原因別】ボールペンのインクが出ないときの対処法と注意点

「まだインクは残ってるのに、ぜんぜん書けない!」急いでいるときに限ってありがちなこの現象、イライラしちゃいますよね。ボールペンのインクが出ないときの対処法はいくつかありますが、原因に合わせた方法を使わないと逆に症状を悪化させたり、インクが漏れたりすることがあるため注意が必要です。今回はボールペンのインクが出ない場合の対処法を原因別にご紹介します。

※今回ご紹介する方法は、確実に書けるようになることを保証するものではありません。文房具メーカーの多くは「書けなくなったボールペンを復活させる方法はない」としていて、自力で対処することを推奨していませんので、実施はあくまで自己責任でお願いします。

ボールペンのインクが残っているのに書けなくなる4つの原因

ボールペンのインクが残っているのに書けなくなる4つの原因

空気が入ってしまった

ペンの内部に空気が入り込むと、インクがペン先まで降りてこなくなってしまうため書けなくなります。壁掛けのカレンダーに書くときや寝っ転がってメモを取るときなど、ペン先が横や上を向いた状態で筆記することで起こりやすくなります。メモ帳を手に持って書くときも姿勢によっては水平に近い角度になりやすいので注意が必要です。

ペン先にキズや凹みがついている、またはゴミが詰まっている

ボールペンは、インクが付いたペン先のボール部分が回転することで書く仕組みになっています。そのためボールにキズや凹みがついたりゴミが詰まったりして、ボールが回らなくなると書けなくなってしまうのです。

高いところから落とす、うっかり服のポケットに入れたまま洗濯機に入れる、キャップをせずにカバンにしまってペン先が他のものとぶつかる、といったことが原因になります。

レシートやFAX用紙などの感熱紙は表面に特殊なコーティングがしてあり、書くときにコーティング剤がすき間に入り込むため普通の紙より詰まりやすいです。

インクが固まっている、インクが古い

気温が低かったり、インクが乾燥して水分が抜けてしまったりするとインクが固まってしまい書けなくなります。キャップをするのを忘れる、寒いところで長時間保管するといったことが主な原因です。

またインクの寿命は製造後2~3年程度と言われているため、きちんとキャップをはめていても購入してから時間が経ったボールペンはインクが変質して書けなくなることがあります。芯の中央付近に製造年が記載されているはずなので、確認してみてください。

実はもうインクがない

実はもうインクがない

「芯にインクの色が残っているから、まだインクがある」と思っても、実は芯のチューブに着色がしてあるだけでインクはなくなってしまっていることがあります。この場合は当然何をしてもインクが出ることはありませんので買い替えましょう。

買ったばかりなのにインクが出ないときは?

長い間在庫として保管されていたボールペンは、新品でもインクが古くなっていて書けない場合があります。初期不良扱いで交換してもらえる可能性がありますので、購入したお店に問い合わせましょう。

ちなみに、パーカーなど外国ブランドのボールペンは最初のインクが出てくるまで時間がかかるものが少なくないようです。しばらくすると出てくることが多いので、諦めずにグルグル書きを続けてみてください。

また、意外なことに「ペン先の樹脂玉を外し忘れていた」というせっかちさんも少なくありません。念のためもう一回確認してみましょう。

原因別の対処法と注意点

インクが出なくなった原因によって、使うべき対処法が変わってきます。広く知られている対処法の中には逆にペンの状態を悪化させてしまうものもあるため、それぞれチェックしていきましょう。


ペン先をきれいにする

ペン先をきれいにする

ペン先にゴミが詰まった場合は、ゴミを取り除けば書けるようになります。ティッシュにグルグル円を書く方法がメジャーですね。紙より摩擦が強いティッシュを使うことで、ペン先の汚れが取れやすくなります。ペン先をつまむようにして拭くのも効果的です。強い筆圧でゴリゴリこすりつけてしまうとボール部分が破損する場合があるため、あまり力を入れすぎず、ゆっくり行いましょう。

ティッシュで改善しない場合は、さらに繊維が細かいタバコのフィルターを使うこともできます。タバコの吸い口側にペン先をねじ込み、10~20回程度グリグリと動かしてみましょう。

また除光液や消毒用エタノールを使って汚れを溶かすという方法もあります。ただし、プラスチックの部品も一緒に溶けてしまう可能性があるので、使用する場合は十分注意してください。

振る

振る

空気が入ってしまった場合は、遠心力を使って空気を押し出すことで復活する可能性ががあります。おそらく一番有名なのは輪ゴムを使う方法です。セロハンテープなどで輪ゴムをボールペンの真ん中あたりに止めたら、グルグル回してねじっていきます。限界までねじったら「ぶんぶんゴマ」の要領でゴムの両端を引っ張れば、勢いよくペンが回って空気が抜けるという理屈です。

ペン先から空気を抜くのが目的なので、キャップ式の場合はキャップを外しておきましょう。ただし、この方法だと勢い余ってインクが飛び散ることもあるので気をつけてください。

インクの飛び散りが気になる方は、ビニール袋を使いましょう。ボールペンを袋の中に入れたら、ペン先を固定するために上から輪ゴムで止め、あとは手でブンブンと振り回せば同じ効果が期待できます。取っ手付きの袋を使うと振りやすいですよ。

温める

温める

インクが固まってしまっているときは、温めることで書けるようになることがあります。手でペン先を包むように30秒ほどギュッと握ったり、ハーッと息を当てたりしてみましょう。お湯を使う場合は40℃程度のぬるま湯をコップに入れ、ペン先を浸してしばらく置いておけばOKです。

ドライヤーの温風を当てる、ライターの火であぶるという方法も有名ですが、温度が高くなりすぎてペン先が破損したりボールペンそのものが溶けてしまう原因となり危険ですので避けてください。

濡らす(水性インク限定)

濡らす(水性インク限定)

水性インクのボールペンでは、ペン先の固まったインクを濡らして柔らかくする方法も使えます。濡らしたティッシュにペン先を押し付けるようにして何度か動かしたら、ペン先の水分を拭き取り紙に文字を書いてみます。インクの出が悪い場合は何度か繰り返すといいでしょう。インクに触れる水の量が多いと悪化の原因になりますので、様子を見ながら少しずつ行ってください。

冷やす(フリクション限定)

冷やす(フリクション限定)

これは「消えるボールペン」として有名なフリクションシリーズ限定ですが、インクを冷やすと書けるようになることがあります。通常のボールペンは前述したとおり冷やすとインクが固まってしまい逆効果ですが、フリクションのインクは特殊なものを使っているので対処法も変わるのです。

まず「こすると消える」という仕組みは、65℃以上になると色が消えるインクを使っているためです。このインクは一度色が消えてしまうと、常温のままでは色が復活しません。完全に復色させるためにはマイナス20℃前後まで冷やす必要があるとされているので、ビニール袋などに入れて冷凍庫にひと晩入れておき、常温で解凍してから使ってみましょう。メモ帳などの消してしまった文字も、同じ方法で復活させることができます。

インクが出にくくなったら買い換えるのがベスト

今回ご紹介した方法は、あくまで代わりのボールペンが手元にないときの応急処置です。一度書けなくなったボールペンはまたすぐ書けなくなることが多いので、早めに新しいペンか替芯を買っておきましょう。

「お気に入りのブランドボールペンだから、なんとか復活させて長く使いたい」という方は、自分であれこれする前に修理の依頼をした方が確実です。まずは保証書などに記載されている問い合わせ先に連絡してみてください。大半の有名ブランドは公式サイトに修理依頼方法に関するページがあるので、保証書がない・保証期間が過ぎている場合もまずは問い合わせてみましょう。

>>パーカー(PARKER)修理に関するお問い合わせフォーム
>>ウォーターマン(WATERMAN)よくある質問
>>クロス(CROSS)カスタマーサービス

※当店でご購入いただいたボールペンに関しては、まず当店までお問い合わせください。

さいごに

ボールペンのインクが出ないときの対処法について簡単にまとめます。

  • ペン先をきれいにする
  • 振る(空気を抜く)
  • インクを温める
  • 濡らす(水性インク)
  • 冷やす(フリクションシリーズ)

一度書けなくなったボールペンは、自力で復活させるのが難しいものです。いざ使うときに困らないよう、普段からボールペンの使い方や保管場所には気をつけてみてくださいね。