【お墓参りの基本作法】持ち物・服装・時間帯・マナーを解説

【お墓参りの基本作法】持ち物・服装・時間帯・マナーを解説

かつてお墓参りは日常的にするものでしたが、現在では年に数回、長期休暇などを利用してするものに変わってきています。

一緒に行く親や親族にならってお墓参りをしたことはあっても、自分が中心となってやるとなると、何をどうしたらいいかわからない方も多いのではないでしょうか。

今回はお墓参りの基本的な流れや必要なもの、お参りするときのマナーや注意点についてご紹介します。

お墓参りに必要なもの

お墓参りに必要なもの

お墓参りは墓前で手を合わせるだけではないので、手ぶらで行くわけにはいきません。お墓参りに必要なものは、大きく分けて「掃除用具」「お参り用品」「お供え物」の3種類です。具体的には次のようなものを用意します。

  • ぞうきん、バケツ、ほうき、軍手などの掃除用具
  • 線香、ろうそく、ライター
  • お花、飲み物などのお供え物と半紙
  • (必要に応じて)数珠、花の茎を切るハサミなど

仏教におけるお供え物は「香(線香)・花・灯燭(ろうそく)・浄水・飲食」の五供が基本です。5つともお供えするのが理想ではありますが、故人を思う気持ちが込もっていればすべて揃っていなくてもかまいません。

お墓参りの基本的な流れ

お墓参りの基本的な流れ

お墓参りのやり方に絶対的なルールはありませんが、一般的には次のような流れで行います。

STEP.1
本堂へお参りする
寺院墓地の場合、家のお墓に行く前にまずは本堂へお参りしましょう。
STEP.2
お墓の掃除
手桶やバケツに水を汲み、お墓の前で手を合わせてから掃除を始めます。雑草や落ち葉は取り除き、墓石の汚れやホコリは水で洗い流してからぞうきん等で拭き上げます。
STEP.3
お供え物をととのえる
掃除が済んだら、花立てに新しい水を入れて花を飾り、半紙の上にお供え用のお菓子や飲み物を供えます。
STEP.4
線香やろうそくを供える
ライターで線香やろうそくに火を付け、香炉皿にお供えします。線香を折るか折らないか、立てるか寝かせるかなどの作法は宗教宗派や家庭によって異なります。
STEP.5
合掌・礼拝
線香の火を消さないように気をつけながら墓石の水鉢(墓石中央のくぼみ部分)に新鮮な水を張り、まずは墓前で全員揃って合掌・礼拝します。その後故人と関係が深かった人から順に改めて一人ずつ墓前で合掌してお参りし、全員のお参りが済んだらお墓参りの手順はひと通り終了です。

お墓参りのマナーと注意点

お墓参りのマナーと注意点

霊園のルールに従う

霊園ごとに定められたお参りのルールがあります。ペット同伴不可の霊園では敷地内に連れ込まない、開園時間内にお参りを済ませるなど、基本的なことをきちんと守りましょう。

お供え物は半紙の上に置く

お菓子や飲み物などのお供え物は、半紙を敷いてその上に置くのがマナーです。お供え物と一緒に半紙も忘れずに持参しましょう。

お供え物は回収する

お参りが済んだら、カラスなどの野生動物に食い荒らされないようお花と線香以外のお供え物は必ず回収します。施設に備え付けのゴミ箱がない場合は、掃除で出たゴミなどと一緒に持ち帰りましょう。

墓石に飲み物をかけない

「故人が好きだったから」とお酒などを墓石にかける人もいますが、墓石に水以外のものをかけるとシミや変色の原因となるため控えましょう。飲み物をお供えしたい場合はビンや缶の状態のままで供え、お参りが終わったら他のお供え物と一緒に持ち帰ります。

線香やろうそくの火は吹き消さない

仏教では、人間の口は不浄なものであり、そこから吐いた息で神聖な火を消すのは不適切だとされています。お線香やろうそくの火は、手であおぐようにして消しましょう。

トゲや毒のある花はNG

トゲのある花は殺生を連想させるため、お墓に供える花には適しません。彼岸花など毒を持つ花も「仏様に毒を供える」ことになるため控えたほうが良いとされています。

また、一般的にはお供えに造花を使うのはふさわしくないとされていますが、近年では管理のしやすさから造花をお供えする人も増えてきています。

お墓参りに行くときの服装

お墓参りに行くときの服装

お墓参りの服装に決まりはありません。お墓の掃除なども行うので、動きやすいカジュアルな服装がおすすめです。

ヒールのある靴は砂利道や芝生の上ではつまづきやすく危険なので、特に女性は歩きやすい靴を選ぶようにすると良いでしょう。

例外として、四十九日や一周忌などをお墓の前で行う「墓前法要」のように特別な場合は、きちんと礼服やスーツを着用する必要があります。

お墓参りに適した時期

お墓参りに適した時期

お墓参りをするのは基本的にいつでもかまいません。墓地が無理なく通える場所にあるのなら、日常的にお墓参りをしても良いでしょう。

とはいえ、近年はお墓のある場所と居住地が遠く離れていることも珍しくありません。お墓参りできるのが年に1~2回程度の場合、次のようなタイミングで行うのが一般的です。

お盆

お盆はお墓参りに行く人がもっとも多い時期です。お盆の時期には、ご先祖様の魂があの世からこの世に帰ってくると言われています。地域によって「8月盆」と「7月盆」のところがあるので、お参りする地域の風習を確認しておきましょう。

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お彼岸

お彼岸は3月(春分の日を中日とする前後3日間)と9月(秋分の日を中日とする前後3日間)の年2回あります。

春分の日と秋分の日には、太陽が真東から昇り真西に沈みます。真西は仏教で極楽浄土があるとされている方角。

太陽が極楽浄土に向かうように一直線に沈むこの日は、あの世とこの世がもっとも近くなるため、ご先祖様との距離も近くなり、お墓参りに適しているとされています。

年末年始

普段は遠方に住んでいる親族も帰省したりして、一家一同集まりやすい年末年始もお墓参りするのに良いタイミングです。ただし、年末年始は墓地や霊園の開園時間が通常とは異なる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

命日

故人の命日には「祥月命日」と「月命日」の2種類あります。一般的に命日と呼ばれているのは「祥月命日」で、亡くなったのと同じ月・同じ日の年に1回です。

一方の「月命日」は「日」だけが同じときを指します。祥月命日と月命日は重複しないため、月命日は年11回訪れます。命日が31日で同じ「日」がない月の場合、月命日は前倒しして数えるのが一般的です。

人生の節目

お墓参りは故人の供養をするだけでなく、いつも見守ってくれているご先祖様への感謝を伝える意味もあります。「志望校に合格した」「結婚が決まった」「子供が生まれた」といった人生の節目にも、近況報告を兼ねて家族揃ってお参りすると良いでしょう。

お墓参りに適した時間帯

お墓参りに適した時間帯

お墓参りに行く時間帯にも特に決まりはありませんが、混雑しやすいお盆やお彼岸の期間は「午前中の早めの時間」がおすすめです。朝早い時間なら混雑も少なく、比較的涼しいので熱中症対策にもなります。

午前中に間に合わない場合は「夕方の明るい時間帯」でもかまいません。お墓の掃除などもすることを考えると、日没後では何かと不都合です。暑さのピークが過ぎ、まだある程度は明るい夕方の時間帯に行くのが良いでしょう。

「お墓参りに一人で行ってはいけない」理由

「お墓参りに一人で行ってはいけない」理由

「お墓参りに一人で行ってはいけない」という話を聞いたことがあるかもしれません。これはいわゆる心霊的な問題ではなく、次のような理由があります。

危険な場所にある墓地が多いから

霊園や墓地は、人気の少ない山の奥などにあるケースもあります。このような場所ではクマやイノシシなどの危険な野生動物が出没する可能性があるため、なるべく複数人で行動するようにしたほうが安全です。

万が一のとき人目につきにくいから

熱中症や持病の悪化、転倒によるケガなどで動けなくなってしまった場合、霊園は他の人の目につきにくい場所です。特に夏場は墓石の照り返しで暑さをより強く感じるため、一人きりで行くのは少なからず危険を伴います。

どうしても一人で行かなければいけない場合は、必ず誰かにお墓参りへ行くことを伝えておく、万が一のとき助けを呼べるように携帯電話を肌身離さず持っておくなどの対策をしておきましょう。

お墓参りに行けないときは

仕事などで忙しくお墓参りの時間がとれなかったり、ケガや病気の関係でお墓まで行くのが難しかったりするケースもあるでしょう。こういったときは、次のような対処法があります。

自宅の仏壇に手を合わせる

お墓まで行けない場合は、自宅にある仏壇に線香をお供えして手を合わせるだけでもかまいません。仏壇がない場合は、お墓のある方向に手を合わせるだけでも十分気持ちが伝わります。

代行サービスを利用する

お墓周りの手入れを何年も怠ると、劣化が進むだけでなく、周辺のお墓にまで雑草が生い茂ったり虫が出たりして迷惑をかける可能性があります。

何年もお墓参りに行けていない場合は、お墓参り・お墓掃除の代行サービスを利用するのがおすすめです。

ご先祖様に思いを馳せる時間を大切にしよう

お墓参りはマナーや作法も大切ですが、もっとも重要なのは「ご先祖様のことを思って供養をする」という気持ちです。それぞれのやり方で、ご先祖様に思いを馳せる時間を持つようにしましょう。