赤ちゃんが生まれたあとは、多くのお祝いごとやイベントが待っています。
その中でもっとも早く訪れるのが「お七夜(おしちや)」です。
近年では行わないご家庭もあるので、どんな行事か知らない方も多いかもしれません。
今回はお七夜の内容と、お七夜のメインイベントとなる「命名式」についてご紹介します。
お七夜とは何をする行事?
「お七夜(おしちや)」とは、赤ちゃんの生後7日目に行う行事です。
昔は医療が未発達で衛生状態も良くなかったため、7日目を迎える前に命を落とす赤ちゃんも少なくありませんでした。
そのため、お七夜では赤ちゃんが無事に7日目を迎えられたことに感謝し、今後の健やかな成長を願います。
かつては親戚一同を集めて盛大にお祝いするものでしたが、現在では祖父母など近しい親戚だけを招いたり、誰も招待せず家族だけで簡単に済ませたりすることも多いようです。
ただし、赤ちゃんに名付け親がいる場合は必ず招待しましょう。
お七夜の儀式では、赤ちゃんの名前をお披露目する「命名式」がメインのイベントとなります。
- はじめのあいさつ
- 命名式
- 記念撮影
- ゲストと祝い膳を囲む
- おわりのあいさつ
命名式では何をする?
命名式では、生まれてきた赤ちゃんの名前を、お祝いに来てくれた親族やその土地の神様にお披露目します。
この儀式には「赤ちゃんを地域の一員として迎え入れてもらう」という意味があるようです。
命名式の内容は地域により異なる場合がありますが、一般的には「命名書」と名前の由来の披露、名付け親の紹介などをします。
命名書(命名紙)とはどんなもの?
命名書には、赤ちゃんの名前・生年月日・両親の名前などを書きます。
作り方は「正式」と「略式」の2つあるので、命名書を作る予定の方はチェックしておきましょう。
使用する紙
命名書には「奉書紙(ほうしょし)」という白い紙を使います。
奉書紙は耐久性に優れており、かつては公文書の作成にも使われていた高級な和紙です。
しかし、近年では奉書紙以外の紙を使った命名書も多く販売されており、必ず奉書紙を使わなければいけないわけではありません。
インターネット上で無料テンプレートも複数公開されているので、手書きにこだわらず自宅のプリンターで印刷する人も多いようです。
書いてもらう人
命名書を手書きする場合、父方の祖父が書くのが正式な形とされています。
これは、昔は赤ちゃんの名付け親が父方の祖父であることが多かったためです。
現代では赤ちゃんの両親が名付けるのが一般的なので、命名書も両親が書くことが多くなりました。
そのため、今では命名書を書く人に厳密な決まりはないと言っていいでしょう。
命名書は長く残る記念品でもあるので、毛筆が得意な知人にお願いしたり、プロによる代筆サービスをお願いしたりするケースもあります。
正式な命名書の書き方
正式な命名書を作る場合、奉書紙の書き方や折り方に決まりがあります。
名前などを書く用と書いたものを包む用で少なくとも2枚必要で、書く際は毛筆を使用します。
折り方
- ツルツルした面が表になるように、縦半分に折る
- 折り目を下にした状態で、左端から3分の1を折る
- 同様に右側から折り、三つ折りにする
書き方
- 三つ折りを開いた右部分に「命名」と書く
- 中央部分の右上に父親の名前と続柄、中央に赤ちゃんの名前(ふりがなはなくても可)、左側に生年月日を書く
- 左部分に命名した日付、両親(名付け親がいる場合は名付け親)の名前を書く
包み方
- ザラザラした面を上にして縦に置き、中央に三つ折りにした命名書を置く
- 中央の命名書を包むように、左→右→上→下の順で折る
- 表面の中央に大きく「命名」と書く
略式の命名書の書き方
略式の場合、使用する紙の種類や大きさに決まりはありません。
一般的には半紙や色紙を使い、中央に赤ちゃんの名前、右側に生年月日、左側に両親の名前を書きます。
書く内容やレイアウトにも厳密なルールはなく、両親の名前と生年月日の位置が逆になっているものや、赤ちゃんの名前のみを大きく書いたもの、出生時の身長体重を書くものなどさまざまです。
とても自由度が高いので、特にこだわりがない場合は略式での作成をおすすめします。
命名書の飾り方
正式な書き方で作った命名書は、鏡餅などを飾るのに使う「三方(さんぼう)」という台に乗せ、神棚に飾ります。
飾る日数に決まりはありませんが、出生届を提出する日やお宮参りの日など、産後1~3ヶ月ごろまでを目安に飾ることが多いようです。
最近では神棚がないご家庭が多いこともあり、命名書は略式で作るケースが増えてきています。
略式の命名書は飾り方にもルールはなく、好きな場所に飾ってかまいません。
飾り終わった命名書は処分してもかまいませんが、記念品としてへその緒などと一緒に保管するのが一般的です。
祝い膳の準備はどうする?
お七夜の祝い膳は、縁起のいい尾頭付きの鯛や赤飯などを用意します。
ママの体調が回復しきっていない時期なので、準備や片づけが必要ない仕出し弁当やケータリングで手配するのが一般的です。
祝い膳専門の宅配サービスや、「お七夜用」のメニューを提供しているお店もあるので、上手に活用しましょう。
これってどうなの?お七夜の気になるQ&A
「生後7日目」の数え方は?
「赤ちゃんが生まれた日を1日目」とします
母子手帳などに記載されている生後日数の数え方では「生まれた日は0日目」ですが、日本の伝統行事では「生まれた日を1日目」として数えます。
1月1日生まれなら、1月7日が7日目です。
どちらの家でするべき?
どちらでもかまいません
伝統的には「父方の実家」で行うのが習わしですが、現在は里帰り出産などで難しいケースも多いため、母方の実家や、入院が長引いているときは産院でこじんまりと行うこともあります。
しかし、昔ながらの風習を大切にしている地域では、価値観や意見の相違からトラブルになってしまうことも。
事前に地域のしきたりを調べ、心配なことがあれば両家に相談しておきましょう。
お祝いをいただいたら、お返しはどうする?
「お七夜」のお祝い返しは不要です
お七夜でゲストを招いた場合は、命名式のあとに祝い膳を囲むのが一般的です。
この料理がお返しに当たるので、お祝い金やプレゼントをいただいても基本的にお返しは必要ありません。
ゲストを手ぶらで帰すことに抵抗がある場合は、菓子折りなどを用意してもいいでしょう。
ただし、お七夜のときに「出産祝い」をいただいたら、後日内祝いをお返しするのがマナーです。
命名式で、命名書は必ず必要?
必須ではありませんが、用意するのが一般的です
命名式は「赤ちゃんの名前をお披露目する」のが目的なので、基本的には命名書を用意します。
「命名式=命名書を用意するもの」という考えが一般的なので、命名書を作らない場合は事前にゲストにも伝えておきましょう。
お七夜はしなくてもいいの?
「しない」が多数派です
お七夜の風習が生まれた当時は、産後7日でママが床上げ(産後の安静状態から回復して、寝床を片付けること)するものでした。
しかし、現在では床上げの目安が「産後3週目」となっており、7日目はまだ安静にしているべき時期です。
出生届は生後14日以内に提出すればよいので、お七夜のタイミングではまだ名前が決まっていない場合もあります。
こういった理由で、今ではお七夜を行わないご家庭が多数派です。
とはいえ、赤ちゃんにとってお七夜は生後はじめての記念すべきお祝いごと。
ママと赤ちゃんの体調にあわせて、7日目以降にお祝いの機会を作ってもいいでしょう。
最近では、お宮参りとお七夜を一緒に祝うご家庭もあるようです。
命名式などの儀式を行わない場合も、手形・足形を取る、家族で記念撮影をするなどして、生まれたばかりの赤ちゃんとの思い出を何かしらの形で残しておけるといいですね。