【ククサのお手入れ】オイルと洗い方で「まずい」は防げる!

【ククサのお手入れ完全ガイド】オイルの塗り方・洗い方・保管方法

フィンランド北部ラップランド発祥、貴重な白樺のコブをくりぬき、職人の丁寧な手作りにより誕生する木製マグカップ、ククサ(Kuksa)。「贈られた人には幸せが訪れる」という言い伝えがあり、古くから現地ではプレゼントとして高い人気を誇ります。

今回はそんなククサのお手入れ方法について、徹底的に解説します。オイルの塗り方から洗い方、保管方法まで一挙にご紹介。画像付きで分かりやすく解説するので、誰でも簡単にお手入れができるはずです。

こまめなお手入れは、ククサを丈夫にし、長持ちさせる最大の秘訣です。反対に、お手入れを怠ればククサは油分を失い、カビや割れを引き起こす危険性も。大切なククサを長持ちさせたい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

なぜ必要?ククサをこまめにお手入れする理由

プレゼントとして贈られたククサ

ククサを長持ちさせるには、こまめなお手入れが必要です。その理由は、2つあります。

  1. 油分で強度を高める
  2. 経年変化が楽しめる

それぞれの理由について、詳しく解説していきましょう。

油分で強度を高める

油分により飴色になり、ツヤが出ているククサ

ククサはオイルを塗ることで、油分が内部に浸透して強度を増します。また油分が詰まっていれば、木材の乾燥は防げます。つまり衝撃や乾燥による割れから守るには、こまめなお手入れによって、ククサの油分を失わないことが大切です。

繰り返し洗っていると、表面のオイルは次第にはがれていき、木肌が丸裸に。完成品のククサに塗られる蜜蝋(ミツロウ:働き蜂が分泌するロウ)は、プラスチック塗膜のような防水性・はっ水性はありません。そのためオイルの塗り直しが必要なのです。

オイル塗布でククサが強度を増す理由

オイルを塗ると強度が増す仕組みは、いたってシンプル。白樺の木材で作られたククサは、オイルを塗布すると、油分が道管を通って浸透します。油分は内部で固まるので、結果、材質は硬くなり、水分の浸透を防げて割れ防止に繋がるのです。

経年変化が楽しめる

経年変化により色味が深まったククサ

こまめにお手入れしながら長く使っていくことで、木材特有の経年変化が楽しめるようになります。使い方やお手入れの仕方によって変化の仕方は異なるので、手間ひまかけた分だけ愛着が沸くものです。

大切な人からプレゼントでもらったククサなら、なおさら丁寧に扱いたいですね。

オイルで長持ち!ククサのお手入れ方法

ククサをお手入れする女性

いわゆるククサのお手入れとは「表面にオイルを塗ること」を指します。表面をコーティングするだけでなく、木材内部まで油分を浸透させることが目的です。

オイルの塗り方は、大きく分けて2つの方法があり、具体的には下記のとおりです。

  1. 生クルミを使った伝統的なお手入れ方法
  2. 植物油や蜜蝋を使った簡単なお手入れ方法

それぞれのお手入れ方法について、画像を交えながら詳しく解説していきましょう。

#1:生クルミを使った伝統的なお手入れ方法

ククサ発祥の地に伝わる、伝統的なお手入れ方法からご紹介しましょう。この方法では、市販の植物油は不要で、生クルミから出た油分を使います。

具体的な手順は、下記のとおりです。

柔らかいガーゼと生クルミを用意
ククサの手入れに使う生クルミとガーゼ

ガーゼが用意できなければ、キッチンペーパーでも構いません。

クルミは、加工したローストクルミ(素焼きクルミ)ではなく、生クルミを用意してください。生クルミはスーパーやECサイトで販売されています。

ガーゼにクルミを包む
ククサの手入れのためガーゼにクルミを包む

クルミは、実1粒で十分です。油分が漏れ出ないよう、クルミ全体を包み込みます。

上から軽くたたいて、実をつぶす
ククサのお手入れのためガーゼのなかのクルミをつぶす

クルミをつぶして、中の油分を抽出し、包んだガーゼに染み込ませます。手で叩いてつぶれないときは、布が破れないように力加減をしつつ、金づちを使いましょう。

染み込んだ油分を木目に沿って塗り込む
生クルミの油分をククサに塗り込む

あとはククサ全体に油分を塗り込むだけです。表面にゆっくりと油分を刷り込んでいきます。油分の量が少ない場合は、もう一度、中のクルミを叩いて調整しましょう。

全体がツヤのある飴色に変われば、お手入れ完了です。染み込まなかった余分な油分を拭き取り、風通しの良い乾燥した場所に保管しましょう。

#2: 植物油や蜜蝋を使った簡単なお手入れ方法

続いて、伝統的な方法よりも手軽で簡単な方法を紹介します。この方法では、生クルミよりも入手しやすい、市販の植物油や蜜蝋を使います。

具体的な手順は、下記のとおりです。

柔らかい布と天然オイルを用意
ククサのお手入れに使うクルミオイルとガーゼ

天然オイルにも色々な種類がありますが、ククサのお手入れでは、乾性油と呼ばれる油の乾きが早い植物油や蜜蝋を使います。たとえば、下記の5種類が有名です。

  1. クルミ(ウォルナット)オイル
  2. グレープシードオイル
  3. えごま油
  4. あまに油
  5. 蜜蝋(ビーワックス)

上記のなかでも、特に「クルミ油」と「グレープシードオイル」がおすすめです。香りがほとんどなく、油の乾きも早いので、ククサのお手入れには相性抜群。

なお手軽に入手できる、サラダ油やオリーブオイルを使うことも可能ですが、あまり推奨されません。これらのオイルは乾きが遅く、梅雨どきにはカビの原因にもなります。できるだけ使用を控えましょう。

オイルを布に少量染み込ませ、木目に沿って塗り込む
ガーゼに含んだクルミオイルをククサに塗り込む

塗り込むときは、木目に沿って、優しく刷り込むようにオイルを伸ばします。余分なオイルは拭き取ることになるので、出し過ぎには注意しましょう。

全体がツヤのある飴色に変われば、お手入れ完了です。染み込まなかった余分な油分を拭き取り、風通しの良い乾燥した場所に保管しましょう。

ククサの正しい洗い方は「水洗い」

ククサを水洗いしている様子

ククサを洗うときは、できるだけ水洗いを心掛けましょう。強い洗浄力は、汚れと一緒に表面の油分を奪います。

木肌が露出したククサは、衝撃や乾燥に弱い無防備な状態です。オイルを塗り込めば回復しますが、毎度毎度お手入れするのは避けたいところ。そのため日頃からククサを他の食器と分けて、水洗いするべきです。

洗うときは、スポンジや布などの柔らかい素材でさっと擦り、ぬるま湯ですすぎます。なお汚れが目立ち、水洗いで歯が立たないときは、洗剤を使っても大丈夫です。

ククサがしょっぱい!アク抜き・塩抜きはするべき?

山盛りの塩

ククサを使い始めたとき「しょっぱい!」「なんか、まずい」と感じる人は、そう珍しくありません。これは、ククサの製造工程で塩漬けを行うからです。

塩味やまずさは、繰り返し使っていけば徐々になくなります。気になるからといって真水のお湯でグラグラ煮込んではいけません。木製品を長時間水につけるとヒビ割れやカビの原因となってしまいます。

塩抜きをせずとも、日頃の水洗いやお手入れで改善されるので安心して使い続けましょう。

塩漬けでククサが丈夫になる理由

塩漬けはアク抜きも兼ねた、ククサを丈夫にするため欠かせない工程です。塩水の浸透圧により、木材の中の水分が適度に抜けて、代わりに塩の結晶が入り込みます。結果、木材が締まり、堅くなるのです。

カビを防ごう!ククサの正しい保管方法

乾燥した場所に保管されるククサ

洗い終わったククサを保管するとき、まずは水気をしっかり拭き取ります。そして日の当たらない、風通しの良い場所に保管しましょう。

白樺の木材を材料にしたククサは、カビに注意が必要な木製品。湿気が空気中に滞ってしまう密閉空間に長期間放置すれば、カビが発生する危険性も高くなります。

天然素材だからこそ、温度や湿度、直射日光には要注意です。特に、梅雨などの湿気が多い時期は、保管場所に十分気を付けましょう。

ククサが欠けてしまったときの対処法

ククサが欠けたのでサンドペーパーで修理する様子

キャンプや登山などのアウトドアにも大活躍のククサ。普段よりもガサツに扱い、飲み口が欠けてしまうなんて事故も。そんなとき、小さな欠けであればご自分でも修理可能です。

まずは5センチ四方にカットした、中目(240番程)のサンドペーパーを用意してください。サンドペーパーは、ホームセンターや100円均一ショップで入手できます。

そして欠けた部分を、飲み口の輪郭に沿ってペーパーで擦ります。輪郭を上手に捉えるコツは、親指のハラを押し当てることです。飲み口以外は、木目の方向に沿って擦るとキレイに仕上がります。

インテリア雑貨として飾ることも検討しよう

インテリア雑貨として飾られるククサ

長年使い続けていれば、欠けや割れが起こるのも仕方のないこと。そのまま捨ててしまうくらいなら、いっそのことインテリア雑貨として飾るのも検討してみましょう。

シンプルで洗練されたデザインは、北欧スタイルをはじめ、どんな部屋の雰囲気にもマッチします。壁から吊るしたり、小物入れにしたり、多肉植物の鉢植えにしたりと、アイディア次第でさまざまなアイテムに大変身です。

大切なククサを長持ちさせる2つのポイント

コーヒーを注いだククサ

繊細な天然素材ゆえ、長持ちさせるためにお手入れが欠かせないククサ。お手入れの有無により、丈夫さも色合いも変わる特徴は、ご説明したとおりです。

そんなククサを長持ちさせるため、気を付けるべきポイントは、他にもいくつかあります。定期的にオイルを塗るだけで、ずっと使い続けられるわけではありません。

具体的に気を付けるべきポイントは、下記のとおりです。

  1. 定期的な使用を心掛け、毎回チェックする
  2. 他のマグカップやタンブラーと使い分ける

どれも、そう難しくありません。しかしククサの持ち主として、知っているべき情報です。日常生活の中で、ちょっと意識するだけでも、ククサをより長持ちできます。

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきましょう。

定期的な使用を心掛け、毎回チェックする

ククサを定期的にチェックする様子

ククサの状態を観察するためにも、定期的に使うことが大切です。カビや害虫も、早期に発見できれば被害を最小限に抑えられます。キャンプ用にと購入し、普段は眠らせていると、いざ使おうとしたとき大惨事になっているかもしれません。

日頃から使っていれば、ククサのわずかな変化も発見できます。木肌にツヤがなくなる、お手入れのサインも見逃しません。お手入れが面倒だからと敬遠せず、ククサを定期的に使ってチェックしましょう。

他のタンブラーやマグカップと使い分ける

ククサとタンブラー、マグカップ

飲み物の種類や温度、使用シーンによって、他のタンブラーやマグカップと使い分けましょう。もちろん定期的にククサを使って、チェックすることは大切です。しかし、いついかなるときもククサを使う、いうのは危険かもしれません。

なぜなら白樺の木材で作られたククサは、極度の乾燥や温度変化に弱いからです。そのため冷蔵庫や電子レンジ、オーブン、食洗器の利用は避けましょう。直火や直射日光も苦手としているので、屋外シーンでの使用にも要注意です。

さいごに

「幸せのシンボル」だからこそ、大切に使い続けたいククサ。こまめなチェックとお手入れを心掛け、時間とともに色味が深まるククサと自分自身の中の愛情を、育ててみてはいかがでしょうか。きっと何年たっても手放せない、あなたの宝物になるはずです。

「ククサについてもっと知りたい!」といった方は、下記の記事も参考にしてください。

ククサとはククサとは【幸運が訪れるマグカップ】意味とその理由を解説!